讃岐(さぬき)うどんブログのトップ

2005年12月18日

もともと、私自身はそんなに讃岐うどんにご執心だった訳ではない。が、周りの影響で「機会があったらそのうち讃岐うどんを食べに行ってみたいなー」くらいは思っていた。

例えば、今は亡き、地上最強の日記職人・香子さん at Honky-Tonk Brilliant IIは、たびたび日記に讃岐うどんネタを書いていたし、そこの掲示板の常連であった、京都のうさんくさい薬局の店長・S藤氏は、あっさりと洗脳された挙句に、その香子さんが寄稿した「うまひゃひゃさぬきうどん(さとなお・コスモの本)」が出たら、すぐに買ってきて、讃岐うどんへの想いを募らせていたようである。


まだ免許も車も持っていなかった私は、免許と車を持っているS藤氏に「車をだして讃岐うどん食べにいこーやー」と勝手な事を言っていたものの、実現には至らず(当然だ)、やがて讃岐うどんへの情熱は忘れられていったかに見えた。
(続く)

2005年12月19日

さて、それから1年半が経ち、どういう訳か免許と車を手に入れた私は、お盆に四国に行くことになり、途中の13~15日がヒマになる事から、讃岐(さぬき)うどん食い倒しツアーを強行する事に突然決めた。

そうと決めれば、まずは香川県の詳しい地図と、「うまひゃひゃさぬきうどん」を手に入れる必要がある。地図はすぐに見付かったものの、うまひゃひゃさぬきうどんがなかなか見付からない。

初版が出てから2年近く(2000年当時)たっているし、無理からぬ事ではあるが、取り寄せているヒマはないし、S藤氏に借りるにしても、物持ちは良いが整理整頓能力皆無の彼に、2年前に買った「うまひゃひゃさぬきうどん」を探し出させるくらいなら、本屋を10軒回った方がたぶん早い。

と思って探したら、8件目でうまひゃひゃさぬきうどんを見付けた。

讃岐(さぬき)うどん食いまくりツアーの準備を万端整えて、いざ四国に出発。夜通し高速道路を走り続けたにしては、渋滞中に追突しかけたのが2回だけというのは、結構まともな方ではないか、とは、口が裂けても言えまい。ま、でも、納車(注:1台目)から10日しか経ってないんだもんな。

12日早朝に、無事に第一目的地である愛媛県松山市にたどり着いた。チェックインの時間になるのを待って宿にもぐり込み、ひと寝入りした。起きてから、うまひゃひゃさぬきうどんと県別マップル香川県版をにらめっこしつつ、付箋を貼り付けていったら、こんな具合になってしまった。ザックに入れにくくてかなわない。

マップル香川県版

一晩ぐっすりと眠って疲れを(ある程度)取った私は、翌13日の朝9時ごろ、香川県に向けて出発した。いよいよ讃岐(さぬき)うどん食いまくりツアーの始まりである。

2005年12月20日

まず断っておくが、私はその場で思い付いて、適当に行動する傾向がある。これは決して、計画を立てる能力がないわけではなく、立てた計画を実行する能力がないだけの事である。

それはさておき、高速を1時間ちょっと走って香川県に入った。入ってすぐの豊浜サービスエリア(以下、SA)に車を止めて、どこに行くかを考える事にした。日曜日は休みという讃岐(さぬき)うどんの店が結構多い(とくに讃岐(さぬき)うどんの製麺所は)ので、その辺に注意しつつ見ていると、善通寺ICのそばに「山下(善通寺)」がある。

一般店(製麺所やセルフサービスの店ではない、普通の讃岐(さぬき)うどん屋)だから、日曜日でも開いているのだろう。(実は讃岐(さぬき)うどんの一般店でも日曜日休業という店は多いが)

下の道に下りて、さして迷いもせず、県道4号線と22号線の交わる辺りにある山下に到着。雰囲気も何もない、プレハブ作りの店だが、11時半だというのに駐車場はすでに一杯である。仕方ないので、少し離れたところに路上駐車した。(地元の方、ごめんなさい)

ダダ混みの店内に入って、さとなおさんお勧めの『冷ぶっかけ』の小を注文する。うっかり大なんか頼むと、次の讃岐(さぬき)うどん屋さんで食べられなくなる。

で、讃岐(さぬき)うどんツアーの記念すべき一杯目が出てきた。冷たいだしをぶっ掛けて食べる。うまい! 舌触りといい、コシといい、喉越しといい、確かにうまい。食べながら笑ったり泣いたりはしなかったが。

どうも、讃岐(さぬき)うどんのうまさの表現に関しては、うまひゃひゃさぬきうどんを読んでもらう方が良さそうな気がする。

2005年12月21日

さて、次は善通寺の山下から少し南に下ったところにある「琴平の良心」宮武に行く。国道4号線を下って、県道47号線と交わる交差点で右折して、しばらく行くとある。

讃岐(さぬき)うどんの有名店・宮武だが、人さえ並んでいなければただの家。でも鬼混み。

100m西側に専用駐車場があるのだが、路駐も結構ある。店の前に並ぶ人も結構多い。が、並びながら観察していると、列の長さはなぜか一定のままである。ここの讃岐(さぬき)うどんを食べに客はパラパラ来るので列は長くなりそうなものだが、見た瞬間に諦める人も多いので、長さは変わらないというわけだ。

で、うまひゃひゃさぬきうどんには、「あつあつ(熱い麺に熱いだし)」「ひやあつ(冷たい麺に熱いだし)」「ひやひや(冷たい麺に冷たいだし)」の3種類の讃岐(さぬき)うどんが書いてあったが、私が行った時には「あつひや(熱い麺に冷たいだし)」というのがあった。で、頼んだのは「ひやひや」。

出てきたひやひやの讃岐(さぬき)うどんを食する。凄まじい噛み応え、というか、かなり固い。ここの讃岐(さぬき)うどんはあつあつにした方が私には良かったかもしれん。

2005年12月22日

讃岐(さぬき)うどん食いまくりツアーの次の目的地だが、同じ見開きに「満濃トライアングル」が載っているので、そちらに向かう事にした。

満濃トライアングルというのは、うまひゃひゃさぬきうどんの原点とも言える「恐るべきさぬきうどん」でそう呼ばれている、仲多度郡満濃町吉野の吉野交差点をはさんで営業している3軒の讃岐(さぬき)うどん屋のことである。

最短距離をたどるなら、もと来た47号線を東に向かって、同じ交差点を南に曲がって進むのが良いのだが、さとなおさん夫妻にそのネーミングセンスを絶賛され、香子さんがわざわざ予約して泊まったというラブホテル「ヨーロ・レイ・ヒー」と、真っ赤な看板をぜひとも見てみたいと思って、西に向かった。

・・・ない。地図を見る限り、場所は間違っていないはず。でも、ない。あるのは、こんな「ホテル・オリーブ」とか「ホテル・レモネード」とかいう看板のみ。

いらぬ寄り道をしたおかげで、途中、道を間違えて、とんでもなく狭い道を走るはめになったものの、ようやく3軒の讃岐(さぬき)うどん屋が並ぶ満濃トライアングルにたどり着いた。

とりあえず1番すいていた「そのうち行ってみたい柳生屋」に入ってみる。讃岐(さぬき)うどんの定番・ぶっかけを頼んだのだが、どうも、麺をズルズルとすする時の唇の触感がザラザラしているのだ。正直、あまり満足できなかった。

うまひゃひゃさぬきうどんに柳生屋に行った話が載っていなかった理由がわかった気がする。

2005年12月23日

次は、数ある讃岐(さぬき)うどん屋の中でも、釜揚げうどんがうまいという長田である。こちらは駐車場は一杯なので、心を痛めつつ路駐。で、当然、釜揚げうどんを頼む。

軽く説明すると、釜揚げうどんというのは、打ったうどんを湯掻いてから、普通のうどんとは違って、水ですすがずにそのまま器に入れて客に出す。これに対して、水ですすいで引き締めたものをお湯に入れて温めたものは「湯だめうどん」と言う。

で、客が多い割には早く出てきた。ゴマとネギとショウガを掛けて食す。これがまたうまい。ぶっかけうどんとは食感が全く違い、かなり柔らかいが、コシがないというわけではない。しかも、讃岐(さぬき)うどんの香りがこちらの方がかなり口一杯に広がるのがまた良い。

店を出て、斜め前の小縣屋(おがたや)に入る。元祖しょうゆうどんを注文したが、わずか30秒で出てきた。混んでいるから、讃岐(さぬき)うどんをどんどん湯掻いているのだろう。

大根おろしをちょいと乗せて食す。ここの讃岐(さぬき)うどんは私の好みよりはちょいと固いかな。無論、不味いわけでは全くないのだが、どうやら私は柔らか目の方が好きなようだ。

                               *

讃岐(さぬき)うどんを4杯も食べて、腹もいい加減ふくれたので、高松市内に向かう。ホテルにチェックインしてから、夜に讃岐(さぬき)うどんを食べる店を調べたら・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・日曜日休みの店ばっかりやないか。あ~~~~~あ。

というわけで、明日に続く。

今日は昨日のようにテキトーに讃岐(さぬき)うどんの店を回るのではなく、綿密な計画のもとに効率的に讃岐(さぬき)うどん巡りをする事にした。スケジュールは以下の通り。

7時 宿の近くの「さか枝(さかえだ)」

9時  聖地「山越(やまごえ)」

9時半  究極のセルフ店「中村」

11時 山奥の超秘境「谷川米穀店」

あとはテキトー。何の事はない、やっぱりテキトーなのである。

7時頃に県立中央病院の裏手にあるさか枝に到着、でも、開いてるのかどうか良くわからない。中は暗いからまだ開いてなさそう、などと逡巡していると、4WD車が店の前に横付けして、車から降りたおっちゃんが店内に入っていった。どう見ても従業員でも業者でもない。だったら客だろう。入る事にした。

セルフの店は初めてなので、勝手がわからず戸惑っていると、店のおばちゃんが声を掛けてきたので、ぶっかけうどんの小を注文した。しかし、間抜けな私は熱いだしを掛けてしまい、ぶっかけうどんならぬ、かけうどんにしてしまった。まあ、うまかったからいいんだけどね。

宿への帰りに見付けた「竹清(ちくせい)」は16日まで盆休みだった。


2005年12月24日

宿から山越まで行く時間の見積もりが立てられないので、とりあえず1時間くらいかかるものと見て、8時に宿を出る。

空いている道をぶっ飛ばしていったら、40分ほどで「讃岐(さぬき)うどんの聖域」と称されるらしい山越にたどり着いた。

話に聞いていた通り、巨大駐車場が出来ている。さすがに開店時間前だから車は少ない。少ないが10台は停まっている。みんな店の前で並んでいるのだろうかと思って、看板の示す方に行ったら、すでに開店していた。

ちなみにここは讃岐(さぬき)うどんの製麺所であるが「聖域」とまで呼ばれ、賞賛されているので、ちょっとでも遅い時間に行くと、凄まじい混みっぷりなのだそうだ。

それはともかく、ここでもぶっかけうどんの小を注文するも、またも普通の熱いだしをかけてしまい、かけうどんになってしまった。でもやっぱりうまい。うまいが、讃岐(さぬき)うどんの聖域とまで言う程かというと、どうなんだろ?

2005年12月25日

次は、ネギが切れると裏の畑で自分で抜いてこないといけないという、究極の讃岐(さぬき)うどんセルフ店『中村』である。ただ、この中村もたいがいわかりにくい。というか、わからん。事前に地図で住所と照らし合わせて調べてあるにもかかわらず、ドラム缶が目印だと書いてあるにもかかわらず、見付けられん。

とはいえ、讃岐(さぬき)うどん食いまくりツアーの客は増えているようで、同類が何人かいた。そのうちの一組、岡山ナンバーの一家が教えてくれたところによると、「止むを得ない事情により休業します」という張り紙がしてあったそうだ。

事前に電話して、今日は営業しているという確認を取ったから来たのに、休んでいるなんてひどいと彼らは憤っていたが、恐らく、裏の畑のネギが切れてしまったのだろう。

ま、現に休んでいるのだから何を言っても仕方がない。次の目的地・超山奥の讃岐(さぬき)うどん屋「谷川米穀店」に向かう事にした。岡山の一家は讃岐(さぬき)うどんの聖域・山越に向かうと言っていたので、ダダ混みでない事を祈りつつ、人の事より我が身の心配、開いてるんだろうな、と思いつつ、山奥に向けて出発した。


2005年12月26日

国道438号線を延々と南に(山奥に)走り続け、目印の落合橋と明神橋を越えたら、ごくごく小さな集落が道沿いにあったが、肝心の讃岐(さぬき)うどんの店・谷川米穀店を見付けられないまま、集落を過ぎてしまった。

もう一度、ゆっくりと車を走らせて探したが讃岐(さぬき)うどんを食わせてくれそうな店は見付からない。で、今度は山の方に上がる道を進んでいった。山から見下ろす景色は素晴らしかったが、讃岐(さぬき)うどん、もとい、谷川米穀店は見付からなかった。

仕方がないので、橋を越えたすぐの店(閉店中)の前に心の中で謝りながら車を止めて、歩いて探したが、やっぱり見付からず、戻ってきたら、バイクの集団(5人くらい)が、車を止めた南側にたむろしている。おや、と思って、ふとその店の西側(川の方)を見ると、車を止めたすぐ西側に谷川米穀店があったわけだ。ただし、「食堂は16日まで休みます」という張り紙もあったが。

                                 *

2軒連続で休みだったので、ちょっと意気消沈してしまったが、しょげ返っていても讃岐(さぬき)うどんは食べられない。しかも、次の予定はない!

2005年12月27日

しょげていても仕方がないので、地図を見て、もう一つの山奥の秘境にある讃岐(さぬき)うどん屋、「山奥の孤独」山内に向かう事にした。

もと来た国道を引き返していき、途中で県道197号線に入って、うーん、これはまた良くわからんなぁ。何しろ、山と田んぼと線路しかない。人はどこに住んでいるのだ?

しかし、延々と土讃線に沿って走ると、踏切が幾つかあって、3つ目くらいの踏切の向こう側に「うどん山内」という看板が出ていたので、そこで踏切を渡ってしばらく行くと、ここも専用駐車場が出来ていた。これでは秘境度、というか、見付けにく度は激減である。

そこに車を置いて、くねくねした坂道を上がって行くと讃岐(さぬき)うどんの山内があった。こんな秘境にもかかわらず、やっぱり混んでいる。ここはセルフではないので、厨房にぶっかけうどんの小を頼む。

讃岐(さぬき)うどんが出てきた、食する、うまい。うまひゃひゃさぬきうどんでは「宮武系」に分類されていた(し、実際、関係があるらしい)が、宮武よりもこっちの方が多少柔らかくて、こちらの讃岐(さぬき)うどんの方が私の好みである。

2005年12月28日

次はどうしようかと思い地図を見る。すぐ西を国道32号線が通っている。で、この32号線を北に戻っていくと綾南町陶の交差店付近に2軒の讃岐(さぬき)うどん屋・「田村」と「赤坂」がある。という訳で、32号線を走っていたら、仲南町を出ようというあたりの道端に、地図を見てもよくわからなかった「水車」があるではないか! さっそく入った。

地元讃岐(さぬき)の地粉を使っていて香りが段違いとの事だったので、期待して(やっぱり)ぶっかけうどんの小を頼んだ。ここの麺も、ちと固め。固い麺はアツアツのうどんの方が良いように思う。で、ちょっと良くわからなかった。次に行く時は熱いのにしよう。

午後の讃岐(さぬき)うどん食いまくりの話は次以降に続く。まだ食うんかい!


2005年12月29日

水車を出てから、そのまままっすぐ32号線を北東に進んで2軒の讃岐(さぬき)うどん屋「田村」「赤坂」方面に向かっても良かったのだが、どうしても気になる事があった。

そう、ホテル ヨーロ・レイ・ヒーである。

果たして、本当にヨーロ・レイ・ヒーの看板はなかったのか? 看板がなくなったとしても、ヨーロ・レイ・ヒーそのものまで廃業してしまったのか?

国道32号線から国道319号線に入ってそのまま北上する。

昨日は宮武から西に向かって、看板のある(はずの)場所で左折して、国道319号線を南下したが、もともとうまひゃひゃさぬきうどんでは、その逆、319号線を北上して、看板の場所で右折し、東に向かって宮武にたどり着いている。つまり、昨日は逆向きだったから見落としたという事もあり得る。

・・・そうでもなかった。結局、先の写真の看板しか立っていなかった。ただし、看板の下の方に小さく「ホテル ヨーロ・レイ・ヒー」と書いてある。しかも、左折すぐとある。行ってみた。

ホテル ヨーロ・レイ・ヒ

上の写真が、ヨーロ・レイ・ヒーである。赤い看板はなくなっても、ヨーロ・レイ・ヒーは今だ健在である(かどうかまではわからんが、廃業はしていなかった)

うまひゃひゃさぬきうどんを読んでない人にはさっぱりわからんネタを延々と引っ張ってしまった。しかも、これで15分ほど時間を浪費してしまった。12時を過ぎているというのに、しかも、田村も赤坂も讃岐(さぬき)うどんの製麺所である。製麺所でまともな讃岐(さぬき)うどんを食べようと思ったら、午前中、遅くとも13時までには行けと、うまひゃひゃさぬきうどんには書いてある。「行く時間がすべてである」とも。つまり、一刻を争うのである。

2005年12月30日

2軒の讃岐(さぬき)うどん製麺所に急ぐ事にした。もちろん、交通法規はちゃんと守って。地図を見る限り、ここから宮武の前を通り過ぎて、更にひたすらまっすぐ東に向かって、国道32号線に合流し、更に突き進んで、綾南町に入ってしばらく行ったところの交差店で左折すれば、讃岐(さぬき)うどんの店・田村に着くようだ。

で、しばらく行って、綾南町に入ったのだが、あれ、今のところで曲がるべきだったのかな? と思いつつ、止まって地図を見ようにも、道路工事のせいで一車線しかなく、うかつに止められる雰囲気ではない。

仕方ないので、わき道に突っ込んで車を止めて、地図を見たら、次の交差点で左折だった。しかし、目印になる交差店の名前くらい覚えておけば、こんな苦労もないのにな。

で、交差店を左折してしばらく行くと、田村という看板がある。ここらしい。ここもまた、味も素っ気もない安作りの建物で、中に入ると、まるでバスの待合所。更に奥に入ると、讃岐(さぬき)うどんの製麺所になっている。ここでうどん玉を1玉どんぶりに入れてもらって、醤油とネギ・ショウガをかけて、待合所で食べる。うめぇ。これなら何杯も食べられそうだ、お腹さえ空いていれば。

2005年12月31日

さて、今来た道(県道17号線)を逆に進んで、国道32号線も越えると、トラックでは通る事すら出来なさそうなくらい細い道がある。ほんの10mくらいなのだが、そこを越えると、普通の道に出る。

ここを右に向かってしばらく行くと、「赤坂診療所」という看板がある。同じ赤坂だけに、偶然の一致とも思えない。と思って、引き返してみると、その看板の反対側には赤坂製麺所とある。

とりあえず、向かいに百十四銀行があったので、そこの駐車場に無断で駐車して(ごめんなさい)、赤坂の入り口を探して、建物の裏に回ると、入り口と駐車場があった。

車を動かすのも面倒なので、駐車場の事は忘れて建物の中に入る。この建物もたいがいボロイ。中にはガイドブックや写真が色々と置いてある。そして、おばちゃんとおっちゃんがいて、おっちゃんは讃岐(さぬき)うどんを打っていた。

おばちゃんが話し掛けてきたのだが、最近の話題は『取材力のないガイドマップ編集者』のようだ。もちろん、昔の事は知らん。なんでも、電話があって、その際に「朝の5時ごろから仕事を始めている」と言ったら、営業時間を朝の5時にされてしまったらしい。しかも、なぜか終わりの時間も午後2時。実際には「朝7時から暗くなるまで」だそうだ。

で、毎度のごとく、うどん玉の小をもらう。で、おばちゃんに、ネギと「ハサミ」を渡されて、ネギを好きなだけハサミで刻めと言う。包丁よりは切りやすいのだが、話には聞いていたが、やっぱり「ハサミで」ネギをみじん切りにするというのは衝撃的な図である。

で、肝心の讃岐(さぬき)うどんだが、今までになく柔らかい。といってものびているという訳ではなくて、もともとかなり柔い麺なのだろう。これはもう、歯応えとかコシとかではなく、のど越しを味わう、まるで素麺のような食べ方が適していると思う。実際、ここはもともと素麺屋さんだったのだから。

讃岐(さぬき)うどんを食した後は記念撮影である。といっても、撮った写真は店に飾られるだけなので、手元には何も残らない。自分のカメラで撮ってもらうというのもアリだろうが、あいにくデジカメは車内に置いてきてしまった。

2006年01月01日

車内でまたまた考えた。次はどこで讃岐(さぬき)うどんを食べようか。高松に戻るには早過ぎる。そう思いつつ地図を見ていると、ここから坂出市は案外すぐに行ける事に気付いた。

となると、次は「住民の秘密基地」彦江と、「敵前逃亡」おか泉ということになる。もと来た県道を戻って、田村の前を通り過ぎて坂出に向かう訳だが、「赤坂」→「田村」の順に行っていれば、もっと早く坂出に行けたのだが。無計画な自分をちょっと呪った。

県道17号線を北上して、突き当りで県道33号線を北西に進む。市街地に入ったところで、住宅地に入っていくのだが、少し行くと「彦江駐車場」という看板が。これではもう、秘密基地でも何でもない。

車を止めて、しばらく歩くと、どう見ても建築現場の仮事務所・彦江があった。中に入ると、だしが切れたからぶっかけうどんだけになると言われたので、構わないと答えた。で、小1玉をもらって食す。1時半くらいになっていたが、それでもここの讃岐(さぬき)うどんはうまかった。食べている間に、近所の人がうどん玉を買いに来ていたから、この時間でも味は落ちないのかなぁ、とも思うのだが。

2006年01月02日

彦江から更に西に向かって、宇多津町に入ったすぐのところに「おか泉」がある。ここは讃岐(さぬき)うどんの製麺所でもセルフの店でもなく、どこにでもありそうな小奇麗な讃岐(さぬき)うどん屋である。ただし、2時過ぎだというのに、やたらめったら人が並んでいる。駐車場もかなり混んでいる。

しかし、その割には注文したおろしぶっかけうどんが出てくるのは早かった。食す。何という食感。まるでグミキャンディーのようにプニプニしている。うまひゃひゃさぬきうどんで「普通こういう(引用者注:移転して豪華な店構えにする)ことをすると味が落ちるものだが・・・もしこれで味が落ちたんだったら前はいったいどんな味をしていたのか」と書いていたのもうなずける。

何を措いてもここにはぜひ行くべきだと思う。ちなみに、ここはお土産に半生うどんを売っているし、ネット通販でも讃岐(さぬき)うどんが買えるので、行く機会がない方は通販で買うのも良いと思う。ただし、店で食べる方が絶対うまいけどね。

2006年01月03日

さすがにこれだけ回ると腹も膨れてくる。次でひとまず最後にしよう(晩は高松市内で讃岐(さぬき)うどんを食べるつもり)と思い、釜揚げうどんは長田以上という「国分寺ジャンボ」に向かう事にした。

県道33号線をもと来た方向に戻り、県道17号線との交差点も過ぎてしばらく進むと、国分寺町に入る。国分寺駅を少し過ぎたところで、左手に「山下」という看板を見付けた。確か、この「国分寺山下」も、うまひゃひゃさぬきうどんに載っていたはずだが、とりあえず、今はジャンボを目指すことにする。

ちなみに、「国分寺ジャンボ」とか「国分寺山下」というのは、そういう店名なわけではなく、他の町にある同名の店と区別するために、便宜上、地名を付けて呼んでいるだけの事である。例えば、私が真っ先に行った店は「善通寺山下」ということになる。

さて、もうしばらく行くと、ジャンボがあった。ただし、盆休みなんだけど。国分寺山下は営業していたから、そちらに行く事にした。

店内には客が1組いた。いつも通り、ぶっかけうどんの小を頼む。・・・・・・しくしく。午後3時なんて時間に行った私がバカなのだろうが、思い切り作り置き。「おれの満腹を返せー!!」という気分になった。

讃岐(さぬき)うどんの屈辱は、今宵3軒で讃岐(さぬき)うどんを食べて挽回する事にしよう。

2006年01月04日

高松市内のホテルに戻って、翌日の讃岐(さぬき)うどん食いまくりのスケジュールを考えてみた。

高松市内の讃岐(さぬき)うどんの店のうち、「鶴丸」「讃岐屋」「五右衛門」は晩に行くからともかく、まだ「あたりや」「穴吹」「松家(まつか)」が残っている(本当は「大圓(だいえん)」という店も行ってないのだが、火曜日が定休日なので今回は諦める事にした)。

「松家」はともかく、「あたりや」「穴吹」といえば、高松市内にあるにもかかわらず、秘境呼ばわりされているような讃岐(さぬき)うどんの店である。下見をしておいた方が良さそうだ。どうせヒマだし。

住所とうまひゃひゃさぬきうどんの記述によると、あたりやは国道11号線とバイパスの分岐点のすぐそばのパチンコ屋・パーラードリームの地下にあるはずである。パチンコ屋は確かにあった。と思ったら、駐車場の入り口に「あたりや」の看板が出ているではないか! ここも秘境度が激減だな。

続いて、もう1つの秘境、穴吹を探す事にする。住所を頼りに近くまで行ってみるも、さっぱりわからん。うまひゃひゃさぬきうどんには「大倉建設」の駐車場を手掛かりにするようにと書いてあるが、その大倉建設が見付からない。もちろん、穴吹だって見付からない。

しかも、田んぼの中を縦横に走るあぜ道を車で移動するわけだから、曲がったり、ましてやバック・Uターンなどは一苦労である。何度も同じような所をうろついているうちに、暗くなってきて、ますますわかり辛くなってきた。

仕方がない、ひとまず諦めてホテルに戻ろう。そう思ってその場を離れたが・・・・・・・・・・道に迷ってしまった。私はどこに向かっているのだろうか? 途方にくれながらも、しばらく車を走らせているとショッピングセンターがあったので、とりあえず車を止めて入る。

まず、公衆電話で「大倉建設」を調べる。電話番号と住所が書いてあるはずだから、位置を押さえようという訳なのだが、載ってない! 建設業界も不況だし、廃業でもしてしまったのか?

手掛かりを失った私は、2階の本屋に入って、高松市の住宅地図を見付けて立ち読みした。不動産屋が使っている地図だから、これを見てわからなければ、もはやどうしようもない。

はたして、穴吹は見付かった。県別マップルに載っていた「筒井製菓」から東に3筋目のあぜ道を右折した所にあるようだ。この辺も走ったはずなのだが。まあいいや。

この2件の讃岐(さぬき)うどんは明日の午前中にでも食べにいくことにしよう。

2006年01月05日

ショッピングセンターを出て、何とか市街地に戻り、車で讃岐(さぬき)うどん屋に乗り着けようとしたのだが、夏祭りのせいで中心部は交通規制&大渋滞。どうしようもないので、ホテルに車を止めて、讃岐(さぬき)うどんを食べるべく、歩いて繁華街に向かった。

まず、地図を見る限り一番近いのは「讃岐(さぬき)屋」だが、ここも盆休みだった。

次にカレーうどんがうまいという「五右衛門」に向かう。ここは開いていた。店内は、行列はできていないものの、けっこう客が入っている。カウンターに着いてから、カレーうどんを注文する。

程なく出てきたので食する。・・・・・・・・・・・・
どぉりゃぁあぁぁぁ!!!(ノ`д´)ノ~┻┻ θ.':":.

何じゃこれは!!! なか卯のカレーうどんの方が、はるかにうまいやないか!!!
カレーはどう見てもレトルトだし、麺はボソボソ、作り置きとかそういうレベルではないぞ。

この怒りは、最後の1軒、鶴丸の讃岐(さぬき)うどんで抑える事にしよう。
・・・・・・・・・・ここも休みかい!!! しかも、張り紙1つなし!

讃岐(さぬき)うどんの替わりにヤケ酒を腹に注ぎ込んで寝た。明日の讃岐(さぬき)うどんに最後の希望を託しつつ。

2006年01月06日

讃岐(さぬき)うどんツアーも今日が最後である。まずは大秘境「穴吹」に向かう。が、その前に「松家」の場所を見ておきたいと思い、栗林公園駅に向かう。

・・・ここも盆休みだ。お盆に讃岐(さぬき)うどん食いまくりツアーを企画しているのだから、覚悟はすべきなのだが、やっぱり嫌なものだ。

気を取り直して、ひとまず「あたりや」に行ってみる。10時半開店とあるから、9時に行って開いているわけはないのだが、昨日は駐車場の中までは入っていない。開店前のパチンコ屋の地下駐車場に車を乗り入れた。

地下と書いたが、それは表から見た場合の話で、裏に回るとこっちが地上、というか、1階になる。で、その地下のような部分をぐるぐる回ったが見付からない。で、裏手に出てみたら、東側に讃岐(さぬき)うどんの店「あたりや」があった。幸い、ここは盆休みではなかった。

2006年01月07日

安心して穴吹に向かう。昨日、住宅地図で調べ上げたのだから、すぐに行けるはずだったのだが、曲がるあぜ道を一本間違えたおかげで、方向転換やら何やらで5分ほど浪費した。初心者マーク付きの車に乗っているのだから、しょうがないよね。

で、讃岐(さぬき)うどんの製麺所・穴吹にたどり着いた。プレハブ2階建ての壁の上の方に「穴吹製麺所」と、ほとんど消えかかっているが書いてある。これは夕方の薄暗さでは読めんぞ。外観も安普請のプレハブだから、こんなもん、初めから場所を知っていなければ、わかるわけがない。

ここにはさすがに駐車場もなく、仕方がないのでちょっとだけ広い道に路駐。で、建物の中をうかがうと、社員食堂のように、安いテーブルが2つ並んでいる。でも人の気配がしない。しないが、盆休みという張り紙もないことだし、引き戸を引いて中に入ってみた。

中に入ると、おっちゃんが1人で高校野球を見ていた。讃岐(さぬき)うどんを1玉もらう。ネギとだしをかけて食する。

・・・・・・(>_<) 作り置きや~~~~!!

湯掻きたての讃岐(さぬき)うどんで、こんなにボソボソしてるわけがない。麺の真ん中の方に辛うじてコシのかけらがある感じだ。谷川米穀店とは逆に、食堂部分だけが営業しているとか?

ここは機会を改めて再訪したい。場所は覚えたし。

2006年01月08日

少し早いが「あたりや」に戻る。10時前だったがすでに客が店の外に並んでいる。10時開店のはずだったが、すでに店も開いているようだ。こっちの讃岐(さぬき)うどんを先にすべきだったか。

しばらく屋外で待って店内に入れた。メニューを見ると、ここは「あつあつ」「ひやあつ」「ひやひや」の3種類と、湯だめうどんにしょうゆうどんである。

どれにしようか、待ちながら迷っていた。

迷っているうちに順番が来たので「あつあつの小」を頼む。今日はあまり軒数を回るつもりもないので、ゲソ天を讃岐(さぬき)うどんの上に載せて食べる。弾力のあるうどんは言うに及ばず、ゲソ天もうまい。20時間振りにうまい讃岐(さぬき)うどんを食ったなー。

2006年01月09日

次にどこに行くか? 昨日、やむを得ぬ事情で休んでいた中村に行くか? 今日も休んでいそうだし、今回はパスするか。とすると、店の場所を地図で調べていながら、まだ行ってもいない店はあと一軒。善通寺の「宮川」のみ。

あたりやの前を走る国道11号線をひたすら西に向かう。坂出を過ぎ、丸亀を過ぎ、ようやく善通寺に入る。少し行くと県道212号線と交わるので左折。しばらく行くと県道48号線と交わるので、そこでまた左折。2つ目の信号で更に左折。左手にある国立善通寺病院を過ぎたらすぐに宮川製麺所があり、少し先に、やっぱり専用駐車場がある。

しかし、11時過ぎと時間が早いせいか、他府県の車は止まっていない。車を止めて製麺所内に入ると、讃岐(さぬき)うどんを食べている人や、うどん玉を買いに来ている人がうじゃうじゃいる。入って右手に机と椅子が並んでいて、奥でうどんを打ったり湯掻いたりしている。

良くわからんがとりあえず並ぶと、そこは会計をする人の列だったようで、讃岐(さぬき)うどんをその場で食べる人は奥でドンブリ片手にうどん玉をもらうようだ。で、うどん玉をもらい、しょうゆ・ネギ・ショウガをかけて食する。

うまい。私としては、山越や宮竹よりもここの讃岐(さぬき)うどんの方がおいしかった。で、一気に食べてしまった私は、ここでツアーを締めくくるべく、もう一杯、今度はかけうどんを食べる事にした。

今使ったドンブリにうどん玉をもう1玉もらって、本来なら大鍋で湯通しするところだが、すでに使っているドンブリに入れたうどん玉をそこで湯掻くのも気が引けるので、そのまま熱いだしをかけて、ひやあつ状態で食べた。

うむ、ひやあつだと冷まさなくても、食べやすい温度になっているから、これは良い。今度こっちで讃岐(さぬき)うどんを食べる時には、あつあつよりも、ひやあつにしよう。

2006年01月10日

というわけで、讃岐(さぬき)うどん食いまくりツアーの最後の最後で満足できたし、ま、一部に不満はあったものの、大体の讃岐(さぬき)うどんは美味しかったし、客が増えて増長しているような勘違いな店もなかった。

くそ暑い中で客を待たせている事に気が引けて、冷房の効いた店内に一人でも多く入れていた宮武の店長。

店内が暑くならないようにと、口が酸っぱくなるくらいに従業員に入り口の引き戸を閉めさせていた「善通寺山下」の店長。

こっちが行った時間が遅いのが悪かったのに、うどんだしが切れてしまっていた事を申し訳なさそうに詫びていた田村のおっちゃんと彦江のおばちゃん。

ちょっとずれている気がしないでもないが、サービス精神旺盛な赤坂のおばちゃん。


くそ、こうやって書いていたら、また行きたくなってきたではないか。とはいえ、そうそうヒマもないし、とりあえず、ネット通販で「讃岐(さぬき)うどん」でも注文するか。