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讃岐(さぬき)うどんとは何ぞや?(その6)

●讃岐(さぬき)うどんへの誤解

讃岐(さぬき)うどんは、その特異性と「四国」という中央都市圏から距離を置いた位置柄から、時折都市伝説とも思える大きな各種誤解が付きまとうことがある。その代表的なものを以下に挙げる。


・「腰」の定義
香川県外の人々にはしばしば、単に硬い麺や、粘り気のある「もちもち感」だけが特徴の「讃岐(さぬき)うどん風」と称する麺を食べて「腰がある」と受け取ることがあるが、これは誤解である。腰とは前述の通り、麺の製法において生成されるグルテンと麺に内包される細かい空気層の生み出す独特の感触であり、一面的な印象だけで定義できない表現である。


・かけうどんの注文法
琴平町のうどん店「宮武(みやたけ)」を発祥とした親戚、暖簾分け、師弟関係にあたる店(琴平町の宮武、仲南町の山内、高松市のあたりや、など)では、かけうどんの注文時に出汁と麺の温冷の組み合わせを選ぶことができ、それぞれ「あつあつ」「あつひや」「ひやあつ」「ひやひや」(表記は「麺,出汁」の温度の順)と称する。

この注文の特異性と、それを最初に紹介した『恐るべきさぬきうどん』の影響で「讃岐(さぬき)うどんは必ず『あつひや』などと注文する」と思われがちだ。

しかし実際にこの注文方法が行われているのは前述の宮武系うどん店もしくは影響を受けている一部うどん店のみで、大多数の讃岐(さぬき)うどん店舗ではこのような注文方法は行われていない。ただし、実際に「冷たい/温かい出汁」や「冷たい/温かい麺」を用意している店舗はいくつか存在する。


・生醤油・釜玉うどんの普及度
茹で上がった讃岐(さぬき)うどんに直接醤油や生卵をかけて食べる方法は、全国区でそれを売りとしてチェーン展開している店舗もあることから、香川県外の人間より「讃岐(さぬき)うどんのポピュラーな食べ方の一つ」と捉えられているが、実際にはそれほど主流の食べ方とは言えない。

本来は、製麺所などで安直、即席に讃岐(さぬき)うどんを食べる際の一種緊急避難的な調理法である。家庭やセルフ店、一般店において普通に讃岐(さぬき)うどんを食べる場合は「ざるうどん」や「かけうどん」などにする場合が多い。前述の小縣屋などの店舗はこれを「(製麺所でない)一般の店舗での食べ方」として改良したことや「商品としてのマーケティングに成功した」ことで元祖と呼ばれる。




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